チャイニーズのドライバー、チョウさんの車に乗ってイーストリバーを越えたら、もうすぐマンハッタン。

私の第二のホームタウン。

ニューヨーク、ニューヨーク。

何度口ずさんでも、心が初めてみたいにトキメいて、アディダスの足元が飛び跳ねそう。

学生時代を過ごした街は、日頃忘れている記憶の扉を開けて、私を甘酸っぱいあの頃にタイムスリップさせる。
同じ時間を一緒に過ごしたBFたち。
彼らにとって、あの頃の私はどんな存在だったのだろう…。
などと、ホテルに向かう車の中で思いを巡らすのが、NYトリップの定番だ。

今回の旅はビジネス半分、プライベート半分。
いくつかのミーティングをこなした後は、友人たちとの楽しい時間が待っている。

「ユウミさん、お久しぶり~」

最近ビッグアフロにヘアスタイルを変えた、ゲイ友のアンコ。
アンコはNYに住む日本人で、居酒屋でバイトしながらファッションデザイナーをしている。
この街で成功をつかむのは、簡単ではない。

「アンコ、何食べに行く?」

「うーん、和食にする?」

NYに来て和食…と言うか、和食はいまやアメリカンフード。

最近流行っていると噂の "モモタロウ" にて、

「Sex in Tokyo ? なにこのカクテル!」

アンコがはしゃいだ。

ココナッツ坦々麺?カリフォルニア丼?

いろんなものが融合しまくって、もはや和食なのか何なのか不明だけど、そんなアメリカのハチャメチャでボーダレスな発想が私は大好きだ。

「ねーねー、そういえばさあ。どうなったの?あの童顔と」

"あの童顔" とは、この間まで私が恋い焦がれていたTJのこと。
東京のとあるアートイベントで友人から紹介され、あっという間に一目惚れ。

TJは日本人の両親を持ち、アメリカで生まれ育ったジャパニーズ・アメリカン。

「彼はアイビーリーグ出身のエリートで、アメリカの雑誌で"いま最も注目すべき若手建築家"に、選ばれたんだ」

と、友人が自慢げに私に言った。

(胸に一発目のズキュン!)

JTのルックスは童顔で100%アジアンだけど、体にまとう空気感やアティチュードは洗練されたアメリカン。

(二発目のズキュン!)

カワイイ顔とは不釣り合いな、TJの低いトーンの声がたまらなくセクシーで、私のツボに見事にはまった。

(三発目のズキュン!)

でも、私はTJのタイプじゃないよなぁ。

過激な表現で有名なUKアーティストのイベントに合わせて、ブラジャースケスケの黒のシースルードレスに真っ赤なリップの私は、肉食系を超え、腹ペコの猛獣のよう。

ライトブルーのシャツにチノパン、べっ甲の丸眼鏡をかけたTJは、爽やかな大学生のよう。

"美女と野獣" の反対って何て言うんだ?

優等生の彼が、こんなイッちゃってる女に興味ないよね。
握手をしようと手を出したとき、TJが苦笑いを浮かべて、ちょっと後ずさりしてたもん。

でも、諦めきれずとにかく会話してみる。

「あさってNYに帰っちゃうのね」

「イエス。でも、明日の夜、仕事仲間とディナーの後でよければ。飲みに行かない?」

お!? 誘われた!

期待感ゼロだった分、喜び100倍!
予期せぬ事態に、私のハートはロケットみたいに宇宙へブッ飛んだ。

次の晩。
スケスケじゃない(でも、セクシーな)洋服を着て、TJと待ち合わせのバーへ。
彼の好きなマティーニで乾杯。
一目惚れした私は、TJと過ごす時間が、もう楽しくて楽しくて。
好き好き光線をTJに向かって発射しまくった。

午前2時。
お酒もすすみ上機嫌になったふたりは、ダンスするようにふらふらと東京の街を歩いた。
そしていつの間にか、私のマンションの前にたどり着くと、永遠に終わらないキスをした。

"ユウミ、とっても楽しかったよ。また、君に会いたい"

TJからのメール。
彼はNYへと帰って行った。
私も、またTJに会いたい。

童顔で爽やかで育ちが良く、奥手な印象だったTJ。
実は、かなりの肉食男子。
嬉しい読み違いに、私は大きくバンザイした。

会いたくて、会いたくて、ガマンできない私たち。
それから、ふたりのチャットの日々が始まった。
お互い触れることのできない私たちは、それを言葉のやり取りで埋めていく。

テレフォンセックス…ならぬ、チャットセックスだ。

これが、なかなかのハードワーク。
自分でアレコレ行為をしながら、エロっぽい自撮りを送って、同時にテキストを打っていくという荒業。それも、英語で!

玉に乗って、ラッパを吹きながら、ジャグリングするような。
まるでサーカスのピエロだ。

こうして欲しい。どうして欲しい?
こっちはこうなってるの。そっちはどうなってるの?

TJの興奮をかき立てるように、とどまることなく言葉をバンバン打っていく。
それに対して、TJも豊かな表現方法で応えてくる。
お互い夢中になりすぎて、熱く激しい言葉のラリーが1時間に及ぶこともあった。
下着やあらゆる大人の演出物が散乱した私のベッドの上は、まるで嵐の後だ。

そんなやり取りのおかげで、チャットセックスに特化したテレビ英会話があったら、先生が務められそうなくらい、スキルが上がってしまった。

禁断のふたりの世界。
TJと私はその世界に、どんどんのめり込んでいった。

To be continued.....

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