SPRING HAS COME....

春はもうそこまで。

新しい人生が始まる季節。
新しい生活、新しい恋。

NEW LIFE, NEW LOVE....
とはいうものの、私にはこの7ヶ月間、毎週末を一緒に過ごす"年下の男"がいる。
イタズラに始まってしまった若い男とのおママゴトみたいな関係、よくまあ続いているものだと自分ながら感心してしまう。

新しい恋のワクワクに未練はあるが、仕事も忙しいし、週末のベッドの横も埋まっているし。
とりあえず。ま、いいか。

春晴れの日曜日、前から気になっていたフリーマーケットへ、久々ひとりでお散歩。
年下の彼と付き合ってから、ひとりの週末がやけにのびのびと気分がいい。

今日のスタイリングは86年のB級恋愛映画"ナインハーフ"のキム・ベイシンガーを真似て、オーバーサイズのベージュのトレンチコートをふわっと。劇中で主人公のキム・ベイシンガーも、ひとりフリーマーケットへ行くのだ。

マーケットに着くと、まずはクラフトビールの屋台でひとり乾杯。
ひとりで飲む酒が、本当うまいっっっっっ。
オヤジみたいに、プハー。
ひとりっ子の私は、もともとひとりが自然なんだ。

スピーカーから流れてくる、ゆる~いレゲエに身体を揺らせながら、ご機嫌でアンティークやら、ガラクタやらを物色していると、ヘンテコなエイリアン人形を発見。

「カワイイ~」

露店で見つけた、奇妙で不格好な木彫りの蛍光ピンクのエイリアン。
もし私が買わなかったら、一生売れ残るかも…。そんなにモノに私は弱い。
ブスかわいいエイリアンを手にとって、買おうか悩む。

荷物になるし、帰りに買っていこう。

ひとりの散歩は気ままで楽しい。
自分の好きなように過ごすことができる、自分勝手な時間って貴重だ。

漬物の専門店でべったら漬けの試食をしていると、後ろから声が。

「美味しい?」

振り向くと…見覚えのある顔。

「あ、ドラキュラ!」

「お久しぶり、アリアナ」

一昨年ハロウィンパーティーで歌っていたピアノマン。
ドラキュラに扮した彼と、アリアナ・グランデに扮した私の運命的な出逢い。
クールでセクシーなミュージシャンの彼に一目で恋に落ちたのに、若くてカワイイ彼女の登場で、運命的な出逢いはジ・エンド。

「ひとり?」

「ひとり」

「ひとり?」

「ひとり」

お互い探り合うように、ひとりであることを確認。
と、同時にふたりで吹き出した。

「アンティーク好きなの?」

「ガラクタが好きなんだ」

「君は?」

「暇つぶしのお散歩」

ふたり並んで、マーケットをうろつきながら、たわいもない会話を交わす。
澄みきった青い空のせいか、ふたりの表情から自然と笑顔が溢れる。
なんだろう、普通に楽しい。一瞬、年下の顔がちらつく。が、速攻デリート。

ドラキュラと2杯目のビールで乾杯。
ドラキュラとは、同年代ならではの話題で、嫌でも盛り上がる。
俺は明菜派、私はキョンキョン派。ありがちだが、盛り上がる。

パーティで出会った時は、ドラキュラの扮装のせいか蒼白く、ひょろっとして見えたけど。
今日はデニムに白シャツ、チョット無精ヒゲがナチュラルで健康的だ。
身体も思った以上にガッチリしている。
やっぱり、タイプだ…。

突然、ドラキュラが持っていたビニール袋を私の前の突き出した。

「これ」

「え!!?」

恐る恐る覗き込むと、ビニールの中には、あのブスかわいい蛍光ピンクのエイリアンが。

「さっき、コレ見てたでしょ? 」

やだ~!見てたの?っていうか、これってナインハーフのあの場面と一緒じゃない?
キム・ベイシンガー演じる主人公のエリザベスが、ミッキー・ローク演じるジョンにフリーマーケットで出逢う。で、エリザベスが買おうとして辞めたアンティークスカーフをジョンがこっそり購入。そのスカーフでエリザベスをジョンがそっと後ろから包み込むのだ。エロティックで大好きなシーン。

この、ブスかわいいエイリアンでは、そのシーンは再現できないし、ぜんぜんエロティックじゃないけど、私にとっては、充分ロマンティックだ。

「よかったらさ、花見に行かない?」

ドラキュラが、次回会うことを提案してきた。

「若い彼女いるじゃない」

自分にも若い男がいることを棚に上げて、横目でドラキュラをチラリと見た。

「あ、あの子? 彼女じゃないよ。仲の良い後輩の妹」

「ふーん」

怪しんで笑う私。

「あの時、アイツが惚れてた男に振られて、ボロボロになってたからさ。元気づけにハロウィンパーティーに誘ったんだ。」

そーなのー!?あの時、言ってよー。

「ふーん」

「俺とアイツのこと気になった?」

「え?あはは。」

気にしたどころか、一瞬でドラキュラに一目惚れしたじゃない。

「じゃあ、仕切り直しってことで。初めまして、これからよろしくお願いします。」

ドラキュラが私の手を取って、握手した。綺麗な手。

「こちらこそ」

受け入れてしまった。

「で、花見の返事は? 明後日空いてる?」

「んー。空いてる…かな?」

あっさり、OK。

「じゃあ、決まり。12時にここへ来て。」

小さなカードを渡された。

「う、うん。」

「じゃあ、また」

片手をサッと挙げて、彼は笑顔で去っていった。

私が一目惚れした、ドラキュラのピアノマン。
その彼にお花見に誘われた。
これは、デートか?
これは、新しい恋か?

いや、私には若い彼がいる。
だからこれは、友達同士のお花見。

そう、自分に言い聞かせた。


To be continued.....

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