今日は代官山のカフェにて、女ふたりの “朝活”。

忙しいエミちゃんのスケジュールに合わせて、朝の8時から近況報告会。
お互い会っていない間に起こったアレコレ…もっぱら男と仕事の話をオーガニックフードを食べながらキャッチアップするための、くだらなくて大切な時間である。

エミちゃんは年下で、芸能人のクライアントを持つメークアップ・アーティスト。
有名モード紙に、ちっちゃいながらコラムも連載している。

仕事にパワフルなエミちゃんは、プライベートにもパワフルな、彼氏募集中の30代シングル。
恋愛にも前向きなエミちゃんは、ときどき前向きすぎて、ちょっとした事故を起こすけれど、
エミちゃんが提供してくれる失敗談は、同じく “恋愛事故多発” の私にいつも勇気を与えてくれる。

マッシュルームボブに丸いヴィンテージテイストのサングラスをしたエミちゃんが、元気に手を上げてこちらへやってきた。夏の新作らしきリップは、キャロットカラー。メークまで、ヘルシー志向だ。

エミちゃんは着いて早々、 スペシャル・デトックス・スムージーを注文。
エミちゃんの次のミーティングまで1時間。
限られた時間の中で全て話すため、エミちゃんはすぐさま本題に入っていった。

「この間ね、仕事の帰りにバーに寄ったの、ひとりで。

ほら、あの渋谷のバー。

そうしたら、マスターから隣に座ってた男の人を紹介されてね。
誰か良いオトコ紹介してーっ!て、この前、酔っ払ってマスターに言ったもんだから。

ルックスも嫌いなタイプじゃなかったし
まあ、いいか…って、そのカレと話し始めたの。
IT関係の仕事とかって言ってた。

ちょっと話して帰るつもりが、思った以上に盛り上がっちゃって。

馬刺しが美味しい居酒屋のコトとか、
親知らずを抜くのが上手な歯医者さんのコトとか、
霊感の強い友達のコトとか…

ふたりとも結構飲んじゃって、とりあえずお店を出ようか…って。

で、これからどうする?
帰る?
もう一軒行く?

あそこのバー、外出てちょっと歩いたらラブホテルだらけでしょ。
普通なら気まずい雰囲気になるじゃない?
気恥ずかしいっていうかさぁ。
でも、2人とも酔って上機嫌だったもんだから、

ホテルの中、覗いてみる!?
あはは、イイねー!
なーんて、明るくキャッキャ、はしゃいじゃって、
ここメチャクチャ悪趣味じゃない!?
って、大笑いしながら、ピンク色のホテルの中に入っちゃったの!

部屋に着いて、じゃあ、まずはシャワーってことで、1人ずつシャワーに入ってサッパリして。
お互いタオル一枚体に巻いて、ちょっと距離を置いてベッドの上に座ったの。

シャワーに入ったら、酔いがパーっと覚めちゃって、我に返って。
いまさら、どーしよーっ!って、急に心臓がドキドキ。

そしたら、カレが横にきて、

キスしてきたの…首すじに!」

一気に喋ったエミちゃんは、テーブルに運ばれてきた緑色のスムージーを、ストローで勢いよく吸い込んだ。

「…で?」

サラダボールのアボガドをフォークで突きながら、私が話の続きを急かすと、エミちゃんのオレンジ色の口元が思い出し笑いで、ダラシなくゆるんだ。

ニヤついた顔を私に近づけてきて

「で、彼が耳元で囁いたの… "何がしてほしい?" って」

エミちゃんと私、顔を見合わせて

「きゃーーーーーーーーー!」

オシャレなミュージックが流れる、
オシャレなカフェの、
オシャレなムードをぶち壊すような悲鳴をあげると、
その馬鹿でかい声にビックリして、トイプードルがキャンキャン吠えだした。

「スイマセーン!」

慌てて謝る私たちに、白い麻のワンピースが涼しげなワンちゃんの飼い主が、
「大丈夫ですよぉ」と、作り笑いで軽く会釈してきた。

朝っぱらからエロ話で盛り上がり、
代官山のカフェで場違いな奇声をあげる
大人気ない私たち…。

成長が止まっている私たちは、
そのヤングマダムに見えないよう、
子供みたいにふたりで小さく舌を出した。

to be continued...

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