「それで?それで?」

興味津々でエミちゃんに詰め寄る私。

“何がして欲しい?” って、何でもリクエストしちゃっていいのー!? わーい!

なーんてバンザイしたい衝動をグッとこらえて、恥じらうフリをしながらエミちゃんは、彼にひとつお願いをした。

“では、ご希望に答えて”

エミちゃんのお願いを快く受け入れた彼。
エミちゃんの希望を叶えるため、ベッドに仰向けになったエミちゃんの裸の胸やお腹にキスをしながらユックリと焦らすように、彼の顔が下へ下へと沈んでいった。

朝の8時には刺激が強すぎる話だけど、構わず続行。

「それで?」

「彼の顔が現場に到着」

エミちゃんの言葉のチョイスに、ブッと吹いた。

「私、凄〜く、興奮しちゃって!
だって、“アレ” を嫌だっていう男の人、結構いるでしょう?」

いるいる!そういう男!
女にさせるのは大好き、自分がするのは大嫌いだった、アイツ!!!
本当に許せん!

「でね、彼、下でモゾモゾ。
一生懸命やってるんだけど…。

ぜんぜん違うのよ〜場所が!ズレてるの!
ポイントがずれると、全く感じないでしょう!?

一言で言って、ヘタクソ!

最初は感じてるフリしてたんだけど…

“あのー
そこじゃなくって、
もうちょっと右
ちょっと下
いや、下すぎ、ちょっと上
強すぎ、もっと優しく
いや、そこはもっと強く
ゆっくり…
もっと早く!”」

そうなのよ…
言いたくないけど、言わないとわかんないのよね。
ズレて始まると、ずっとズレて終わる。

私はエミちゃんの話に、ウンウンと大きく頷いた。

「思わずアレコレ指図しちゃったの。

そしたら

“いつもそうやって男に命令するの?アゴが筋肉痛になっちゃうよ…
もしかして、不感症なんじゃない?”

って、彼、ふてくされてやめちゃった」

「ひえー」

エミちゃんからの近況報告は、なかなか悲惨だった。

プライドを傷つけられて萎えてしまった男と、男を萎えさせて望むものを逃した女。
その場を丸く収めるには、正直な気持ちを抑えてでも、男を“立てる”べきだったのか?

「あれから、渋谷のバーにも行きづらくなったし…」

確かに…。
関係ない私も、なんだか行きづらい気分になった。

「でもさ、自分のヘタクソを棚に上げといて、相手を不感症呼ばわりするなんて最低なヤツ!
男たちはもっと謙虚に勉強すべきよ、女のことを!」

エミちゃんを元気づけるために、私はそう言った。
でも、本当にそうだ。

「だよね!」

「AVの見過ぎ!何にもわかってない!」

「そうそう!」

「テクニックの前に、サービス精神!」

「そうだー!」

「そんなヤツ、一生セックス上達しない!」

「しない!」

「自己満男は、ひとりでやってろ!!」

「やってろ〜!」

エミちゃんと私は、グーに握った右手を突き上げて大笑いした。

「で、例の彼はどーなの?年下の男の子〜」

いたずらっ子のような顔で、エミちゃんが聞いてきた。

「お姉さんの言うコト、何でも聞いちゃう?」

年下の健太とイタズラに付き合い始めて、もうすぐ一年。
一年経つのに私はまだ健太に、( ベッドの上でのことに限らず )言いたいコトを言えずにいる。

言いたいコトを言って、すれ違ったり傷つけたりモメたら面倒だなぁ…って、
いつも、言葉を飲み込んでしまう。
私が本音をぶつけても、年下の健太は受け止められるのか?

「えー、意外!夕美ちゃんのことだから、何でもズケズケ言うのかと思った」

「そう、意外にもそこらへんのところ、気を使っちゃうのよね…」

言わなくてもいいこと言っちゃって、ボーイフレンドを無駄に傷つけたり、衝突したり、失敗をたくさん経験してきたもんだから、今は余計なコトは言わない。

さらけ出すコトが愛情だと思っていた私も、一歩引くコトを覚えたのだ。

でも…
もしかして、お互いをさらけだして時にはぶつかり合うことを、健太は望んでいるのかな?
もしかして、一歩引いて冷静な私を、よそよそしいって思っているのかな?

「何でも言い合える関係になるのは簡単じゃないし、何でも言えばいいってもんじゃないし」

「そーよねー」と、言いながらエミちゃんはルビー色のビーツを頬張った。

残りの時間、
エミちゃんは来月仕事で海外に行くコトとか、
有名女優からメイクの依頼があったコトとか、
新しいコスメの開発のコトとか
とてもポジティブな話をいろいろして、

「やっぱり、仕事は裏切らない」

という、いつものセリフで女ふたりの “朝活” を締めくくった。

オーガニックフードと男子禁制のあけすけトークで、身も心もすっきりデトックス完了。

さて、今日も一日頑張ろう!

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